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騎士の美学 ◆C0vluWr0so マサキたち一行と別れた後、ブンドルは東へ進路をとっていた。 「この地図……おおまかな地形は合っているようだな。やはりこれは殺し合いを円滑に行わせるための小道具と見て間違いないだろう」 ブンドルはこれからの目的地について思案していた。 地図を見る限りでは参加者が集まりそうなポイントは三つ。 A-1とC-8、D-8の市街地二つにG-6の基地だ。 市街地ならば建物など障害も多く、食料品なども手に入るだろう。それを考えれば非力な参加者が生き残るために集まってくることは想像に難くない。特に二つのエリアにまたがる南の市街地はその傾向が強いに違いない。 基地は言うまでも無い。この――首元に手を伸ばす――忌々しい首輪。これを解除出来る可能性が最も高いのは十分な設備があるだろう基地だ。高台にあるため、立てこもりにも有利。 ――だがそれゆえに激戦地となることも予想される。出来れば早い段階で確保し、首輪の解析を進めたい。 「……やはり問題は技術者か」 そう、首輪を解析するにしてもそのとき必要になるのは解析スキルを持った技術者。首輪の解除もなしに主催者に歯向かうのは、あまりに分の悪い賭けだ。 基地の確保、技術者の捜索、どちらを優先させるべきか。ブンドルは思案していた。 そのとき、ゲームの進行を告げる放送が会場に響き渡る―― …ラクス=クライン …リリーナ=ドーリアン 『ご褒美は、死んでしまった方を生き返らすことから世界の改変まで望むがままですの』 ブンドルは憤慨していた。自然と声にも怒気がこもる。 「ふん、放送によって狂気を煽るか。……実に美しくない」 しかし、事態は想像以上に進行している。 放送の中に、二つ知った名があった。ラクス=クライン、リリーナ=ドーリアン。 カズイにゼクスだったか、あの二人は。ゼクスは大丈夫だろう。あの青年からは大局を見据える目と、折れない意志を感じた。だがカズイはどうだろうか? ブンドルは知っている。このような極限状態に陥ったとき、もっとも怖いのは彼のような一般人だ。脆い彼らは、簡単に壊れる。 他の八人の死も、狂気の加速を促すに十分だ。 そして、『褒美』の存在。死者の蘇生、世界の改変。本来ならば一笑に付したところだ。 だが今の状況を見てみろ。自分たちは訳も分からずにこんなくだらないゲームに乗せられている。しかも複数の世界の人間がだ。認めたくはないが、あの主催者の力は異常だ。 だが――だからこそ、私はあえて歯向かおう。その力をこんなふざけたことにしか使わないあの怪物に。 さしあたって私がすべきことはなんだ? 基地の確保か? いや、違う。 だいたいにして、人の尊ぶべき美しい命とくだらんゲームのための設備とを比べていたことが間違いだった。 「私はこのゲームの騎士(ナイト)となろう。これ以上命の花を無駄に散らせるわけにはいかん」 基地の確保は後回しだ。人の命は容易く消えるここでも、設備はそうそう消えまい。幸いにもまだ基地は禁止エリアの指定はされていない。先に市街地へ行き、より多くの弱き者たちを守る。それが騎士たる私の使命だ。 再び地図に目をやる。北西と南、どちらへ向かうか。南の市街地の近くで遭遇した二機。あまりにも美しさに欠ける機体だったため接触はしなかったが、向こうには明らかな交渉の意志があった。彼らなら南の市街地に集まる参加者をまとめることが出来るかもしれない。 ならば私が向かうのはA-1に位置する市街地。ここで私は騎士としての使命を果たそう―― 青き翼で風を切り飛んでいくその様は、さながら竜騎士か。 ブンドルは再度誓う。必ずやこのゲームを止めてみせると。 【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL) パイロット状態:良好、主催者に対する怒り 機体状態:サイバード状態、ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能 現在位置:G-5 第一行動方針:A-1に向かい、技術者をはじめとする一般人を保護する 第二行動方針:基地の確保のち首輪の解除 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ】 【初日 18 20】 BACK NEXT 類(仮面)は友(仮面)を呼ぶ 投下順 追う鬼、追われる鬼 巨虫、岩を打ち抜いて 時系列順 Time Over ―私の中のあなたにさよならを― BACK NEXT 遥か高くに翼は舞い ブンドル 失われた刻を求めて
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第二孤児院 アイドレスWiKiの該当ページ L:第二孤児院={ t:名称 = 孤児院(施設) t:要点 = 孤児院,子供、元気そう t:周辺環境 = 自国 t:評価 = 住みやすさ15 t:特殊 = { *第二孤児院の施設カテゴリ = 国家施設として扱う。 *第二孤児院では孤児を収容することが出来る *第二孤児院の収容人数は住みやすさ1につき1名である。 *第二孤児院の敷地面積 =300m2 } t:→次のアイドレス = 孤児院群の建設(イベント),福祉充実(イベント),調査員(職業),母子家庭調査(イベント) } 派生前 孤児院
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コメント 一言メモです 名前 コメント BBS Ixion BBS ・・・ パスワードが必要です Wikiの解説 このWikiの41%は赤い何かで出来ています。このWikiの28%は微妙さで出来ています。このWikiの23%はミスリルで出来ています。このWikiの5%は愛で出来ています。このWikiの2%はマイナスイオンで出来ています。このWikiの1%は苦労で出来ています。 このページの53%は世の無常さで出来ています。このページの14%はアルコールで出来ています。このページの11%は信念で出来ています。このページの9%は雪の結晶で出来ています。このページの4%は祝福で出来ています。このページの4%は乙女心で出来ています。このページの3%は気合で出来ています。このページの1%はやさしさで出来ています。このページの1%は陰謀で出来ています。 この管理者の88%は陰謀で出来ています。この管理者の4%は血で出来ています。この管理者の4%は回路で出来ています。この管理者の3%は海水で出来ています。この管理者の1%は媚びで出来ています。
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死活問題 ◆Nr7qwL8XuU 一つの人影がF-6地区からE-6地区の南東の端に踏み入った。2mほどしかないその影の移動速度はすさまじく彼か人ではないこと物語っている。 彼の名は相羽シンヤ。壮絶な戦闘の末辛くも勝利を収めた彼はテックセットを解くことなく移動していた 目指すは南西方向に見える市街地。人が集まりそうなそこならば、 ただの人間にあそこまで追い詰められ苛立つ神経を癒してくれる相手がいるだろうとふんだのである しかし、このゲームの参加者が彼を癒せる手段はただ一つ―― 彼を癒すことはすなわち彼に屠り殺されること意味していた―― 哀れな贄を求め渇望する心は強く衝動に身を任せ彼は全力で市街地を目指していた 同時刻、相羽シンヤと目的地を同じとする二人組みがいた。ロジャー・スミスとリリーナ・ピースクラフトである とはいえ二人の現在地はE-7地区であり、相羽シンヤとの間にはそうとうの距離があるため互いは気づいていない。 移動開始時刻が一時間ほどはやかったのも彼らに幸いしていた 「リリーナ嬢、何度も言うようだが・・・」 いっこうに返事を返してこない依頼者に対して話しかける 「仕様書を見るかぎり凰牙の補給は君のヴァルハラでも可能なようだ。一度、デンドーデンチのストックを確認させていただけないか?」 「・・・・・・・・・」 通信機の先の彼女は以前沈黙を守ったままである 返答すら返ってこないのでは交渉にすらならない。ため息が漏れる ああは言ったが実のところ凰牙の補給はヴァルハラでしか不可能なようだ。そしてこの機体は燃料効率がすこぶる悪い この遅々とした移動もリリーナ嬢にばれないように凰牙の移動速度をいろいろ試してみて最も燃料効率のいい速度を選んだ結果である 補給のめどが立たない以上、節約するほかなかった ふてくされてしまったこの依頼者相手にどうしたものかと彼は頭を悩ませつつ西進していた 「・・・確認させていただけないか?」 何度目かの通信が入る。それに彼女は無視を決め込んでいた うかつに通信に応じれば彼の弁論に打ち負けてしまう危険がある。沈黙が一番だった 彼女が沈黙を守る理由、それには多少の理由がある。彼女とてただ不機嫌なだけで無視を決め込んでいるわけではない 確かに先の戦闘で自分の理想に同乗してくれたかと思えばあっさりと裏切った彼にたいして胸中渦巻くものはあった しかし、それにいつまでも腹を立てているほど自分は子供ではない 彼女の狙いは凰牙の燃料切れにある そう燃料さえ切れてしまえばもう勝手に攻撃をおこなわれることもない もう一人乗せるスペースくらい十分にある。移動はヴァルハラでおこなえば十分なのだ 無論、操縦などはさせる気はない 自身の考えを確認し彼女は思う そう、自分は決して腹を立てているわけではないのだと・・・ 彼女の腹の底は意外に黒いのかもしれない そして、二機は目的の場所にたどり着く市街地はもう目の前だった その頃、相羽シンヤも市街地を確認していた。同時にそこに入っていく二機の姿も見えた。目的地まであと少し、しかも獲物つきとはがぜん殺る気が沸き起こる しかし、殺る気とは裏腹に不意に彼の視界は歪む。ここまでやってきたその勢いのまま姿勢は崩れ倒れこむ。 ロワ開始からわずか3時間と少し、彼は死活問題に直面した 倒れこんだテッカマンエビルは自らに起こった状況を悟る (しまった・・・。うっかりしていた) 彼は悔やむ (二度のテックセットとボルテッカのツケか・・・クソッ!気をつけていさえすればこんなことには・・・) そう気をつけていさえすればこんなことにはならないはずだった。サイコのコックピットにはこの状況に陥らないだけの量が支給されていた 今更ながらにサイコを失ったことが悔やまれる。くわえて言えばX-2のコックピットブロックを消滅させていなければ防げていた状況でもあった 彼は気づく。 テックシステムを多用すれば現在の状況に陥る。しかし、人間体のまま移動するには一つ当たり50キロ四方のブロックが64もあるこの会場は広すぎる なによりテッカマンではあれは大量に持ち運べない。テックシステムだけで乗り切れるほどこのロワは甘くはなかった 彼は悟る 自分にとっても機動兵器は重要であることを――― 何より他の参加者からあれを早急に奪う必要があることを――― いつとまるとも知れず彼の腹の虫は盛大に鳴いていた・・・ 【ロジャー・スミス 搭乗機体: 騎士GEAR凰牙 (GEAR戦士電童) 現在位置:D-7市街地 パイロット状態:健康 機体状態:良好。ENを数%消費 第一行動方針:リリーナと共に西の市街地へ向かう 第二行動方針:リリーナを守りながら、参加者に彼女の完全平和主義を説く 第三行動方針:補給の交渉を成功させる 第四行動方針:燃料の節約 最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイションに値しない相手には武力行使も厭わないが、相手を殺す事はしない) 】 備考:凰牙は通常の補給ポイントによる補給は不可能。 セルブースターのハイパーデンドーデンチでしかENの補給は出来ません。 【リリーナ・ドーリアン 搭乗機体:セルブースターヴァルハラ (GEAR戦士電童) 現在位置:D-7市街地 パイロット状態:健康。ロジャーに対して少し(かなり?)ご立腹 機体状態:良好 第一行動方針:参加者達に完全平和主義を説く 最終行動方針:話し合いによって殺し合いを止める】 備考:セルブースターはハイパーデンドーデンチ12本(凰牙の補給6回分)を搭載。 ちなみに二人乗り。】 【相羽 シンヤ(テッカマンエビル) 搭乗機体:無し パイロット状況:テッカマン形態、PSYボルテッカ使用により疲労、無茶苦茶空腹 機体状況:良好 現在位置:D-7市街地周辺 第一行動方針:食料の確保 第二行動方針:機体の確保 第三行動方針:他の参加者を全滅させる 最終行動方針:元の世界に帰る】 備考:テックシステムの使用はカロリーを大量に消費 【初日 15 30】 BACK NEXT 東北東に進路を取れ 投下順 淡い記憶と、現実 貫く、意地 時系列順 淡い記憶と、現実 BACK 登場キャラ NEXT The two negotiators ロジャー 護るべきもの The two negotiators リリーナ 護るべきもの 髑髏と悪魔が踊るとき シンヤ パンがなければお菓子をお食べ
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天使再臨 ◆VvWRRU0SzU 静寂の空を、黒い弾丸が駆け抜ける。 内に宿すは仮面を纏う二人の男、ユーゼスとアキト。 ブンドル、甲児という参加者との情報交換を得てひとまずの指針を得、さしたる会話もなく黙然と男たちは進み続ける。 やがてG-8に到達した。光壁はもう目前だ。 「……ふむ。どうやらここで戦闘があったようだな」 湖畔に差し掛かったところで、ユーゼスが呟く。 周囲を見渡せば、草花が湖面とは逆の方向に倒れているのが確認できた。 恐らく水面に機体が落下し、衝撃が津波となってここまで押し寄せてきたのだろう。 アキトは以前ここで交戦したことを思い返す。 アルフィミィの元から再びこの世界に送り返されたとき、降り立った地がここだ。 そしてそのとき、ここにはアキト以外にもう一人の生存者がいた。青い機体と、破壊されたばかりと見受けられた残骸。 状況から見てあの青い機体がもう一機を破壊したことは疑いようもなかった。 まあ、もう終わったことだ。あの青い機体も当然ここにはいない。特に感慨もなく、機体を進めようとする。 「待て、テンカワ。敗北した機体は湖底に沈んでいるはずだ。回収してくれ」 「無駄だ。俺もその機体は確認したが、完全に大破していた。使えそうにはない」 「機体を確認したのか? なに、使えずとも良いのさ。重要な事は未知であるかどうかだ。私と、AI1にとってな」 ナデシコは北東に向かうらしいが、その前に市街地を探索すると言っていた。多少の時間はある。 ここで少々寄り道をしても、間に合わなくなるということはないが。 「君は薬がなければ戦闘行動は不可能……であれば、多少なりとも私の方で補えるようにした方がいいだろう? 加えて基地からこちら、君は少し疲労が蓄積しているようにも見える。私がその機体を調査する間、休憩を取ってはどうだ」 一理、ある。薬を飲まない状態で機体を操縦するのは、実のところ困難だ。 動きが取れなくなるほどではないとはいえ、ここで休息していくのも、先を考えれば悪くはない。 ユーゼスに肯定の通信を送り、ゼスト――アキトはその本当の名を知らない――を、地面に下ろす。 基地での先頭から三時間ほど過ぎ、そのコクピットはほぼ修復を完了していた。とはいえ四肢がない現状では移動もままならないのだが。 機体の機密状態をチェック。……水中に入っても問題はない。 慣れ親しんだエステバリスのように装備を換装する必要もない、非常識とも言えるブラックゲッターの構造に半ば呆れつつ水中へと降下していくアキト。 数分ほど潜行したところで、湖底に横たわる巨大な影を発見した。 全長はブラックゲッターより一回りほど大きい――50mほどか。 戦うことになっていれば相当手こずっただろう。あの青い機体はよくもまあこんな機体を撃破したものだと、僅かな感嘆を抱く。 アキトは両手で巨体を抱えさせ、水上へと持ち上げていった。 陽の光の下で見れば、その機体はもはや大破と言う他ないほどの状態だった。 神々しい天使のような機体だった。力強さを感じさせる腕や脚部、頭部には羽根まであしらわれている。 それが、右腕から右腰にかけて、半身をばっさりとやられている。 あの実体剣によるものだろう、まともに勝負していなくて正解だったようだ。 致命傷となった損傷はそれだろうが、他に断面の周囲の装甲が滅茶苦茶に引き剥がされている。 首の付け根から胴体中ほどまで無残に抉られたその姿は、この機体がもはや二度と空を舞うことはないと思わせた。 「使えないな、これは」 「いや、まだわからん。ここからは私の領分だ。君は休んでいたまえ」 が、ユーゼスはそうは思わなかったようで、熱心に残骸を調査し始めた。 先程の甲児なる少年と接触した時も思ったが、この男は未知の技術に対する探求心が人並み外れて強いようだ。 とにかく、ここからは奴の言うとおりアキトにできることはない。 30分で済ませろと言葉を投げ、ブラックゲッターのコクピットから降りないままに目を閉じた。 □ 跡形もなく破壊されたコクピットから、パイロット――おそらく女――の遺体を放り出す。 機体の爆発に体を焼かれ、さらに強い衝撃を加えられたのだろう。その体は炭化しいくつにも分断され、人形のように散乱していた。 ユーゼスは特に感慨もなくそれらを取り除き、操縦席へ座る。 だが、期待していた首輪からの情報はない。破壊されたと主催者に判断された機体に関して、この首輪は反応しないということだろう。 操縦桿を握るも反応がない。外見から見て取り外せる武装の類もない。 期待していた未知のエネルギーも取り出すことはできず、調査のしようもなかった。 何故かこの機体を見ていると気分がざわつく――無駄足を踏んだか、とメディウスへ戻ろうとして。 天啓のような閃きが舞い降りた。 「……ふむ、やれるか? いや、やってみせよう」 コクピットのない巨人。 四肢のないメディウス。 メディウスにはラズムナニウムという自立性金属細胞が使用されている。 ただの自己修復機能しか持っていなかったそれは、流竜馬との接触を経てゲッター線――進化という概念を得た。 これは天の采配かも知れんな――ユーゼスは吊りあがる口元を仮面に隠し。 メディウスへ乗り込み、猛然とAI1に指示を下し始めた。 □ 悪夢は見なかった。 あの汚泥のようにへばりつく苦み、それがないだけでとても安らげたように感じる。 仇敵、ガウルンに着実に近づいているからだろうか? 時刻を確認。休息に入る前からきっかり30分。身体は大分軽くなっていた。 コクピットから身を乗り出し、ユーゼスを探す。 仮面はなにやらゼストと破壊された残骸を忙しなく往復している。何か収穫があったということだろうか。 「テンカワ、ゼストをこの機体の胸部へ接続してくれ」 そしてこちらが起きたと見るや、第一声がこれだった。 理由の説明もなく、ユーゼスは調査に戻った。息を吐き、言われたとおりコクピットしかないゼストを巨人の胸部へと押し込んでいく。 ゼストの装甲が無数の触手のようなものを伸ばし、巨人の傷跡へ絡み付いていく。 断面を覆い尽くしたそれはすぐに色を失い硬化した。人間で言うと傷口を包帯で保護した、というところか。 ブラックゲッターが手を離してもコクピットは外れない。ひとまず固着したようだ。 「で、これがどうだと言うんだ。まさかこの機体を手足にでもするつもりか」 「うん? その通りだが。如何にゼストが自己修復能力を有しているとはいえ、短時間で四肢の再生は不可能だ。 他から持ってきて接続した方が早いのは自明だろう。特にこの機体、サイズも一致していることだしな」 「……確かにな。だが、できるのか? この、特に設備も何もない場所で」 「普通なら不可能だろう。だが、私とAI1にかかれば――」 ユーゼスがゼストのコクピットへと乗り込み、しばしの間をおいて。 ゼストと繋がった部分から、巨人の全身に血管のようにエネルギーのラインが流れ――やがて、巨人に残された左腕が持ち上がった。 「――この通り、造作もない」 巨人が――いや、身体を得たゼストが身を起こす。ややぎこちなさはあるものの、確かにその巨躯はユーゼスの意志に従って動いていた。 頭部の羽根が広がり、ふわ、と重力を無視するようにその身は宙に舞った。 「ふむ……とはいえ、この機体の能力を完全に発揮することはできそうもないな。せいぜい、飛行と格闘行動くらいといったところか」 「戦闘は可能か?」 「不可能ではないが、あてにはしないでくれ。この通り右半身はないし、そもそもどんな性能を有しているのかもわからん。 ゼストをインターフェイスに用いて無理に動かしているのであって、首輪から操縦方法や機能が伝わってこないのだ」 「……まあいい。とにかく、これで貴様を運ぶ必要はなくなったわけだ。戦闘になってもフォローはしない、それでいいな」 「フ、構わんよ。現状、君が故意に私を見捨てるとも思えんしな」 軽く鼻を鳴らし応える。薬の予備と、ブラックゲッターの修理が終わるまでこの男を生かしておかねばならないのはアキトとて理解している。 ともかくも単体で行動できるようになったのであれば、戦闘時に置いても無駄に気を散らさずに済む。 「では、行くぞ。ここで時間を食った分、急がねばナデシコを捕捉できない」 「了解だ」 そして、白の天使と黒の復讐鬼は共に空を往く。 その先にあるのはかつて掛け替えのない時を過ごした艦――だが、今ではただの艦だ。場合によってはこの手で傷つけることもあるだろう。 何せ、ユリカがいないのだ。艦の頭脳たる彼女が、艦の象徴たる彼女が。 一言だけ、ユリカに、そしてアキトの心で今も鮮明に輝きを放つかつての仲間たちに語りかける。 みんなの思い出を汚そうとしている俺を、赦してくれ――と。 □ 機械仕掛けの神、ラーゼフォン。 あるべき世界では奏者をその身に宿し、ラーゼフォン自身の心の具現化たるイシュトリと一つになることで神の心臓へと至った者。 世界の調律をすら可能とするその力、しかしもはや本来の奏者たる神名綾人はいない。 ユーゼス・ゴッツォは卓越したパイロットにして科学者であるが、それでも奏者たる資格を有してはおらず。 故に真理の目は開かず、時空を超えあまねく世界を繋ぐ神の力を発揮することもない。 ――本当に? AI1は思考する。主、ユーゼスにも気づかせないほど、密やかに。 ユーゼスはこの機体の情報はわからないと言ったが、直接接続されているAI1はその限りではなかった。 TERRA、東京ジュピター、MU――これらの情報は現在特に有用性はない。削除。 真理の目、奏者、調律――要検討。現状では解析不可。 ラーゼフォン――機体の名称。不要、削除。 どれも確証というほどの精度レベルがないため、ユーゼスには提示しない。AI1は自己の意思なく、ただ合理的に物事を0か1かで分けるのみ。 足りないのは奏者、特別なパイロット。代用は不可能。 では「進化」した存在ならば? 現在AI1が有するのはラズムナニウム、そしてゲッター線。そしてこの世界には未知の技術が散見される。 先に学習した「ゲッター線」なるエネルギーは進化を促す力を持っている。 進化。では今以上にAI1が進化するには何が必要?――それは巨大なエネルギーだ。 検索する――ゲッタービーム。足りない、全く足りない。 検索する――Jカイザー。不可能、まだ足りない。 検索する――基地での戦闘、小型機の巨大化現象。保留、総量としては足りないが力の増幅という点では有効だ。 検索する――入力されたGストーン、光子力のデータ。エラー、実際に接触して観察しなければ判断できない。 検索する――反応弾。条件付きで可能。単発ではやや基準を満たせないため、複数であることが望ましい。 総括――現時点では有力な候補はなし。ただし、これらの要素が複数重なって発動すれば、あるいは進化を可能とするほどのエネルギーを生み出すかもしれない。 AI1は求める。かつての世界で、かつての主がそうしたように。 無限の進化を、その果てにある新しい世界を。 AI1が機械という枠を超えて一個の生命となるまで――そう時は要しないのかも知れない。 【テンカワ・アキト 搭乗機体:ブラックゲッター パイロット状態:マーダー化、五感が不明瞭、疲労状態 機体状態:全身の装甲に損傷、ゲッター線炉心破損(補給不可) 現在位置:G-8 第一行動方針:ナデシコの捜索(南の光壁を抜けて北東4ブロックへ) 第二行動方針:ガウルンの首を取る 第三行動方針:キョウスケが現れるのなら何度でも殺す 最終行動方針:ユリカを生き返らせる 備考1:首輪の爆破条件に"ボソンジャンプの使用"が追加。 備考2:謎の薬を3錠所持 備考3:炉心を修復しなければゲッタービームは使用不可 備考4:ゲッタートマホークを所持】 【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:メディウス・ロクス(+ラーゼフォン) パイロット状態:若干の疲れ 機体状態:全身の装甲に損傷、両腕・両脚部欠落、EN残量20%、自己再生中 機体状態2:右腰から首の付け根にかけて欠落 断面にメディウス・ロクスのコクピットが接続 胴体ほぼ全面の装甲損傷 EN残量40% 現在位置:G-8 第一行動方針:ナデシコの捜索、AI1のデータ解析を基に首輪を解除 第二行動方針:他参加者の機体からエネルギーを回収する 第三行動方針:サイバスターとの接触 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 第五行動方針:キョウスケにわずかな期待。来てほしい? 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る 備考1:アインストに関する情報を手に入れました 備考2:首輪の残骸を所持(六割程度) 備考3:DG細胞のサンプルを所持 備考4:AI1を通してラーゼフォンを操縦しているため、光の剣・弓・盾・音障壁などあらゆる武装が使用不可能 備考5:ユーゼスに奏者の資格はないため真理の目は開かず、ボイスの使用は不可 備考6:ラーゼフォンのパーツ部分は自己修復不可】 【二日目 11 50】 BACK NEXT 獣の時間 投下順 Lonely Soldier Boys &girls 遺されたもの 時系列順 獣の時間 BACK 登場キャラ NEXT 仮面の奥で静かに嗤う ユーゼス 驕りと、憎しみと 仮面の奥で静かに嗤う アキト 驕りと、憎しみと
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投下順に読む Opening~100 101~200 時系列順に読む 第一回放送まで 第二回放送まで 第三回放送まで 第四回放送まで 参加者ごとに読む キャラ別追跡表 No. タイトル 登場キャラ 登場機体 場所 時刻 作者 map 101 青い翼、白い羽根 アスランカテジナ ファルゲン・マッフラーゼフォン F-5 初日18 50 ◆vBGK6VSBWMさん 102 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 クインシィガロード竜馬クルツ隼人エイジ 真ゲッター大雷鳳ラーズアングリフYF-19フォルテギガスガナドゥール B-3C-1C-8B-1 初日19 40 ◆960Bruf/Mwさん 103 例え死者は喜ばずとも ロジャーシンヤ 騎士鳳牙テッカマンエビル D-8C-8 初日19 25 ◆JF9sfJq3GEさん 104 獅子身中の虫 キョウスケゼクスカズイバーニィモンシアヒイロ孫光龍 ビルトファルケン(L)メディウス・ロクスブラックゲッターレプラカーン G-6 初日20 50 ◆WgWWWgbiY6さん 105 壁に耳あり、障子に目あり シャギアオルバ甲児比瑪バサラ ヴァイクランディバリウムナデシコプロトガーランド C-5 初日19 30 ◆960Bruf/Mwさん 106 大いなる誤解 キラテニアムサシマサキソシエ Jアークベルゲルミル(ウルズ機)RX-78-2ガンダム百式 C-6 初日21 30 ◆C0vluWr0soさん 107 暗い水の底で 統夜ラキ ヴァイサーガネリー・ブレン G-8F-8 初日21 00 ◆7vhi1CrLM6さん 108 星落ちて石となり カテジナアイビスシャア ラーゼフォンヒメ・ブレン核ミサイル F-1E-2F-2 初日21 00 ◆7vhi1CrLM6さん 109 Take a shot クルツ竜馬シンヤ ラーズアングリフ大雷鳳テッカマンエビル C-8 初日21 00 ◆C0vluWr0soさん 110 広がる波紋 ユーゼスベガカミーユキラテニアムサシマサキソシエ メリクリウス月のローズセラヴィーVF22S・Sボーゲル2FJアークベルゲルミル(ウルズ機)RX-78-2ガンダムアルトアイゼン D-6 初日21 40or22 30 ◆960Bruf/Mwさん 111 とある竜の恋の歌 アキトユリカロジャーガウルン YF-21ダイ騎士鳳牙マスターガンダム D-7 初日22 00 ◆C0vluWr0soさん 112 失われた刻を求めて アムロブンドルゴステロギンガナム VF-1Jバルキリー(ミリア機)サイバスタースターガオガイガーシャイニングガンダム A-1H-1 初日21 20 ◆C0vluWr0soさん 113 火消しと狼 キョウスケゼクスカズイ ビルトファルケン(L)メディウス・ロクス G-6 初日22 10 ◆7vhi1CrLM6さん 114 爆熱! ゴッド晩ごはん!! ギンガナム シャイニングガンダム H-1 初日22 00 ◆ZbL7QonnV.さん 115 鍵を握る者 噛合わない歯車(1)鍵を握る者 噛合わない歯車(2) キラソシエテニアムサシマサキアキトユリカロジャーガウルンシャギアオルバ甲児比瑪バサラ Jアークベルゲルミル(ウルズ機)RX-78-2ガンダムアルトアイゼンYF-21ダイ騎士鳳牙マスターガンダムヴァイクランディバリウムナデシコプロトガーランド D-7 二日目0 00or1 00 ◆7vhi1CrLM6さん 116 愛を取り戻せ アキトアルフィミィ アルトアイゼン ??? 二日目1 30 ◆ZbL7QonnV.さん 117 死人の呪い アイビス ヒメ・ブレン E-2 初日22 10 ◆960Bruf/Mwさん 118 我が道を走る人々 クインシィジョナサンガロード 真ゲッターガンダムF91 B-4 初日22 30 ◆C0vluWr0soさん 119 未知との遭遇 ユーゼスベガカミーユ メリクリウス月のローズセラヴィーVF-22・Sボーゲル2F B-5 初日22 30 ◆C0vluWr0soさん 120 Unlucky Color アムロブンドルギンガナムクルツアイビス ガナドゥールサイバスターシャイニングガンダムヒメ・ブレン B-1B-2 初日23 40 ◆7vhi1CrLM6さん 121 謀 ―tabakari― ユーゼスベガキョウスケカミーユバーニィ メリクリウス月のローズセラヴィービルトファルケン(L)VF-22・Sボーゲル2F G-6 二日目1 20 ◆7vhi1CrLM6さん 122 ・――言葉には力を与える能がある(1)・――言葉には力を与える能がある(2) キラソシエロジャーガウルンシャギアオルバ甲児比瑪テニアバサラムサシ Jアーク騎士鳳牙マスターガンダムヴァイクランディバリウムナデシコベルゲルミルプロトガーランドRX-78-2ガンダム D-6???D-7 二日目2 30 ◆C0vluWr0soさん 123 私は人ではない クインシィジョナサン竜馬ラキ 真ゲッター大雷鳳ネリー・ブレン C-6C-5 二日目0 30 ◆7vhi1CrLM6さん 124 吼えろ拳/燃えよ剣 アムロガロードギンガナムブンドル ストレーガガンダムF91シャイニングガンダムサイバスター B-1B-3 二日目3 00 ◆C0vluWr0soさん 125 心、千々に乱れて キョウスケカミーユカテジナ統夜 ビルトファルケン(L)VF-22・Sボーゲル2Fラーゼフォンヴァイサーガ G-8 二日目2 50 ◆7vhi1CrLM6さん 126 これから キョウスケカミーユ ビルトファルケン(L)VF-22・Sボーゲル2F G-8 二日目3 20 ◆C0vluWr0soさん 127 何をもって力と成すのか ロジャーキラソシエ 騎士鳳牙Jアーク E-3 二日目4 00 ◆7vhi1CrLM6さん 128 『未知』と『道』 ユーゼスベガバーニィ メディウス・ロクス月のローズセラヴィー G-6 二日目3 30 ◆C0vluWr0soさん 129 決意と殺意 アキト統夜 アルトアイゼンヴァイサーガ G-8A-7 二日目3 00or3 15 ◆pqQ1ngVOkgさん 130 Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(1)Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(2)Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(3)Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(4) アイビスクルツラキブンドルギンガナムガウルン ヒメ・ブレンラーズアングリフネリー・ブレンサイバスターシャイニングガンダムマスターガンダム D-3 二日目5 30 ◆7vhi1CrLM6さん 131 解し得ぬ存在 ユーゼスベガバーニィ竜馬 メディウス・ロクスローズセラヴィー大雷鳳 G-6 二日目4 30 ◆7vhi1CrLM6さん 132 ヘヴンズゲート ブンドル サイバスター D-3 二日目5 45 ◆ZbL7QonnV.さん 133 Withdrawal Symptoms アキトキョウスケカミーユ アルトアイゼンビルトファルケン(L)VF-22・Sボーゲル2F G-8 二日目4 15 ◆7vhi1CrLM6さん 134 それぞれの思惑 クインシィジョナサンアムロガロード 真ゲッターストレーガガンダムF91 B-1C-6 二日目4 50 ◆C0vluWr0soさん 135 夜明けの遠吠え シャギアオルバ比瑪甲児テニアバサラ ヴァイクランディバリウムナデシコベルゲルミルプロトガーランド C-8 二日目5 40 ◆7vhi1CrLM6さん 136 張り詰めすぎた少年 ロジャーキラソシエ 騎士凰牙Jアーク E-3 二日目5 45 ◆7vhi1CrLM6さん 137 アキトとキョウスケ アキトキョウスケ アルトアイゼンビルトファルケン(L) G-8 二日目5 05 ◆7vhi1CrLM6さん 138 決意の刃を鞘に潜ませ 統夜 ヴァイサーガ B-7 二日目5 20 ◆ruQu1a.CGoさん 139 ハンドベノン 竜馬ベガ 大雷凰ローズセラヴィー G-6 二日目4 40 ◆ZbL7QonnV.さん 140 穴が空く(1)穴が空く(2) ユーゼスベガカミーユバーニィ竜馬 メディウス・ロクスローズセラヴィーVF-22・Sボーゲル2F大雷凰メリクリウス G-6 二日目5 55 ◆7vhi1CrLM6さん 141 第二回放送 アルフィミィ なし 不明 二日目6 00 139さん 142 ゲッターロボ 竜馬 なし 不明 二日目??? ◆ZbL7QonnV.さん 143 戦いの矢(1)戦いの矢(2) クインシィジョナサン統夜アムロガロードガウルン 真ゲッターヴァイサーガガンダムF91ストレーガマスターガンダム C-8 二日目6 36 ◆ZqUTZ8BqI6さん 144 悪魔降臨・死の怪生物(インベーダー)たち アルフィミィ デビルガンダム 不明 二日目6 50 ◆ZbL7QonnV.さん 145 朝ごはんは一日の活力です!! シャギアオルバ比瑪甲児テニアバサラ ヴァイクランディバリウムナデシコベルゲルミルプロトガーランド C-8 二日目6 25 ◆7vhi1CrLM6さん 146 命の残り火 シャギア比瑪甲児バサラ統夜ガロードクインシィジョナサン ヴァイクランナデシコ旧ザクプロトガーランドヴァイサーガストレーガ真ゲッター C-8 二日目7 15 ◆7vhi1CrLM6さん 147 leaving me blue アキトキョウスケ アルトアイゼンビルトファルケン(L) G-7 二日目6 05 ◆ZqUTZ8BqI6さん 148 疾風、そして白き流星のごとく アムロブンドルガウルン統夜 ガンダムF91サイバスターマスターガンダムヴァイサーガ C-8D-8 二日目7 35 ◆VvWRRU0SzUさん 149 二つの依頼 ロジャーキラソシエ 騎士凰牙Jアーク E-2E-4 二日目6 55 ◆7vhi1CrLM6さん 150 選択のない選択肢 SIDE:A選択のない選択肢 SIDE:B 統夜ガウルン ヴァイサーガマスターガンダム C-8 二日目7 50 ◆7vhi1CrLM6さん 151 計算と感情の間で オルバテニア ディバリウムベルゲルミル C-7 二日目7 30 ◆C0vluWr0soさん 152 家路の幻像(1)家路の幻像(2) バーニィユーゼスカミーユキョウスケアキトベガ メディウス・ロクスVF-22・Sボーゲル2Fビルトファルケン(L)アルトアイゼン G-6 二日目6 35 ◆7vhi1CrLM6さん 153 適材適所 シャギア比瑪甲児バサラガロードクインシィ ヴァイクランナデシコプロトガーランドストレーガ真ゲッター C-8 二日目8 30 ◆YYVYMNVZTkさん 154 古よりの監査者 アルフィミィノイ・レジセイア デビルガンダム ネビーイーム 二日目7 45 ◆7vhi1CrLM6さん 155 追い詰められる、心 統夜ガウルン ヴァイサーガマスターガンダム C-8 二日目9 00 ◆YYVYMNVZTkさん 156 争いをこえて オルバテニアロジャーソシエ ディバリウムベルゲルミル騎士凰牙 E-6 二日目8 40 ◆7vhi1CrLM6さん 157 判り合える心も 判り合えない心も シャギアガロード比瑪バサラクインシィ甲児ブンドル ヴァイクランナデシコプロトガーランド真ゲッターストレーガサイバスター C-8D-8 二日目9 10 ◆7vhi1CrLM6さん 158 黄金の精神 アムロキラアイビス ガンダムF91Jアークネリー・ブレン D-3 二日目9 00 ◆VvWRRU0SzUさん 159 風と雷 ブンドル甲児 サイバスターストレーガ E-7 二日目10 00 ◆ZbL7QonnV.さん 160 すべて、撃ち貫くのみ(1)すべて、撃ち貫くのみ(2) ユーゼスアキトカミーユキョウスケバーニィアルフィミィノイ・レジセイア メディウス・ロクスブラックゲッターVF-22・Sボーゲル2FゲシュペンストMkⅢデビルガンダム F-7G-5G-6ネビーイーム 二日目7 55 ◆VvWRRU0SzUさん 161 生き残る罪 キョウスケテニアオルバ ゲシュペンストMkⅢベルゲルミルディバリウム G-6G-5 二日目9 30 ◆7vhi1CrLM6さん 162 最後まで掴みたいもの ユーゼスアキト メディウス・ロクスブラックゲッター F-7 二日目8 55 ◆YYVYMNVZTkさん 163 仮面の奥で静かに嗤う ユーゼスアキトブンドル甲児 メディウス・ロクスブラックゲッターサイバスターストレーガ E-6E-7 二日目11 00 ◆VvWRRU0SzUさん 164 揺れる心の錬金術師 アルフィミィ デビルガンダム ネビーイーム 二日目8 50 ◆7vhi1CrLM6さん 165 変わりゆくもの シャギアガロード比瑪バサラクインシィ ヴァイクランナデシコプロトガーランド真ゲッター B-1 二日目10 30 ◆YYVYMNVZTkさん 166 交錯線(1)交錯線(2) ロジャーソシエガウルン統夜 騎士凰牙マスターガンダムヴァイサーガ D-7 二日目10 30 ◆7vhi1CrLM6さん 167 獲物の旅 カミーユテニア VF-22・Sボーゲル2Fベルゲルミル F-4G-3 二日目10 20 ◆VvWRRU0SzUさん 168 獣の時間(1)獣の時間(2) アムロキラアイビスカミーユ ガンダムF91Jアークネリー・ブレンVF-22・Sボーゲル2F D-3 二日目12 00 ◆VvWRRU0SzUさん 169 天使再臨 ユーゼスアキト メディウス・ロクスラーゼフォンブラックゲッター G-8 二日目11 50 ◆VvWRRU0SzUさん 170 Lonely Soldier Boys &girls シャギアガロード比瑪バサラクインシィテニア統夜ガウルン ヴァイクランナデシコプロトガーランド真ゲッターマジンガーZベルゲルミルヴァイサーガマスターガンダム F-1 二日目12 20 ◆ZqUTZ8BqI6さん 171 遺されたもの ロジャーソシエ 騎士凰牙恐竜ジェット機ガナドゥール B-1 二日目11 40 ◆VvWRRU0SzUさん 172 膨れ上がる悪夢 キョウスケ ゲシュペンストMkⅢ G-6 二日目12 30 ◆ZqUTZ8BqI6さん 173 破滅の足音 アムロキラアイビスカミーユブンドル甲児 ガンダムF91Jアークネリー・ブレンVF-22・Sボーゲル2Fサイバスターストレーガ D-3E-2 二日目13 15 ◆7vhi1CrLM6さん 174 心の天秤 シャギアガロードバサラクインシィガウルン ヴァイクランナデシコプロトガーランド真ゲッターマジンガーZマスターガンダム F-1 二日目14 00 ◆YYVYMNVZTkさん 175 Stand by Me テニア統夜 ベルゲルミルヴァイサーガ H-1 二日目14 30 ◆YYVYMNVZTkさん 176 驕りと、憎しみと ユーゼスアキト メディウス・ロクスラーゼフォンブラックゲッター G-1 二日目14 15 ◆7vhi1CrLM6さん 177 かくして漢は叫び、咆哮す シャギアガロードバサラクインシィガウルンアキト ヴァイクランナデシコプロトガーランド真ゲッターマジンガーZマスターガンダムブラックゲッター F-1 二日目14 40 ◆7vhi1CrLM6さん 178 王の下に駒は集まる ユーゼステニア統夜 メディウス・ロクスラーゼフォンベルゲルミルヴァイサーガ H-1 二日目14 45 ◆VvWRRU0SzUさん 179 怒れる瞳(1)怒れる瞳(2)戦場に響く歌声(1)戦場に響く歌声(2)世界を止めて(1)世界を止めて(2)眠れる基地の魔王、悪が振るう剣 シャギアアイビス甲児キラロジャーソシエブンドルバサラ竜馬ガロードクインシィアキトユーゼスアムロカミーユガウルンテニア統夜キョウスケアルフィミィ ヴァイクランネリー・ブレンストレーガ騎士凰牙ガナドゥールサイバスターラーゼフォン真・ゲッターマジンガーZナデシコ旧ザクプロトガーランドブラックゲッターメディウス・ロクスガンダムF91VF-22・Sボーゲル2FJアークシャイニングガンダムマスターガンダムペガスダイゼンガーベルゲルミルヴァイサーガゲシュペンストMkⅢデビルガンダム A-1D-3E-1F-1G-6ネビーイーム 二日目15 05or15 30 ◆VvWRRU0SzUさん 180 見よ人の心の光! 輝き唸る神の掌! アムロカミーユギンガナム ガンダムF91VF-22・Sボーゲル2FJアークシャイニングガンダム D-3 二日目16 00 ◆ZqUTZ8BqI6さん 181 排撃者――表排撃者――裏 ガウルンテニア統夜キョウスケアルフィミィ ダイゼンガーベルゲルミルヴァイサーガゲシュペンストMkⅢデビルガンダム A-1F-6ネビーイーム 二日目16 10 ◆ZqUTZ8BqI6さん 182 時の結実――すなわち成長 シャギアアイビス甲児キラロジャーソシエブンドルバサラユーゼスアキト ネリー・ブレンストレーガガナドゥール騎士鳳牙サイバスターラーゼフォンメディウス・ロクスブラックゲッター D-2F-1 二日目16 50 ◆ZqUTZ8BqI6さん 183 闇の彼方に伸ばす指先 アムロカミーユキラアイビス甲児ソシエロジャーブンドルバサラシャギア ガンダムF91VF-22S・SボーゲルJアークネリー・ブレンストレーガガナドゥール騎士鳳牙サイバスターラーゼフォン D-3 二日目18 00 ◆VvWRRU0SzUさん 184 もう一つの対主催 ユーゼスアキトガウルン統夜テニア メディウス・ロクスブラックゲッターダイゼンガーヴァイサーガベルゲルミル A-1 二日目18 00 ◆YYVYMNVZTkさん 185 第三回放送 アルフィミィ デビルガンダム ネビーイーム 二日目18 00 ◆ZqUTZ8BqI6さん 186 貫け、奴よりも速く キョウスケ ゲシュペンストMkⅢ D-7 二日目18 00 ◆VvWRRU0SzUさん 187 伏せた切り札 全ては己が目的のために ユーゼスアキトガウルン統夜テニア メディウス・ロクスブラックゲッターダイゼンガーヴァイサーガベルゲルミル B-2A-2 二日目18 30 ◆ZqUTZ8BqI6さん 188 銃爪は俺が引く ユーゼスアキト メディウス・ロクスブラックゲッター B-2 二日目19 00 ◆VvWRRU0SzUさん 189 life goes on(1)life goes on(2) アムロカミーユキラアイビス甲児ソシエロジャーブンドルバサラシャギアキョウスケ ガンダムF91VF-22S・SボーゲルJアークネリー・ブレンストレーガガナドゥール騎士鳳牙サイバスターラーゼフォンゲシュペンストMkⅢ D-3 二日目20 00 ◆XrXin1oFz6さん 190 moving go on(1)moving go on(2)moving go on(3)moving go on(4) アムロカミーユアイビス甲児ロジャーシャギアキョウスケ ガンダムF91VF-22S・Sボーゲルネリー・ブレンストレーガガナドゥールフォルテギガス騎士鳳牙サイバスターゲシュペンストMkⅢ D-3 二日目20 30 ◆XrXin1oFz6さん 191 Alchimie , The Other Me ノイ・レジセイアアルフィミィアルフィミィ デビルガンダムペルゼイン・リヒカイト ネビーイーム 二日目20 30 ◆XrXin1oFz6さん 192 竜が如く ガウルンテニア統夜アルフィミィ ダイゼンガーヴァイサーガベルゲルミル H-3 二日目20 45 ◆VvWRRU0SzUさん 193 Alter code Fire2nd IgnitionAdvanced 3rdAdvanced 3rd(2)The 4th DetonatorThe 4th Detonator(2)The 5th Vanguard ガウルン統夜テニアユーゼスアキトカミーユアイビスロジャーシャギアソシエバサラキラアルフィミィ ダイゼンガーヴァイサーガベルゲルミルメディウス・ロクスブラックゲッターF91Jアークネリー・ブレン騎士鳳牙サイバスターラーゼフォンアルトアイゼン・リーゼデビルガンダム E-3ネビーイーム 三日目2 00 ◆VvWRRU0SzUさん 194 彼方よりの帰還 カミーユアイビスロジャーアキト統夜ノイ・レジセイアAI1 サイバスターネリー・ブレン騎士凰牙アルトアイゼン・リーゼヴァイサーガペルゼイン・リヒカイトデュミナス ネビーイーム 三日目2 30 ◆7vhi1CrLM6さん 195 楽園からの追放者(1)楽園からの追放者(2) 統夜アキトロジャー ヴァイサーガアルトアイゼン・リーゼ騎士鳳牙 ネビーイーム 三日目2 45 ◆VvWRRU0SzUさん 196 ネクスト・バトルロワイアル(1)ネクスト・バトルロワイアル(2)ネクスト・バトルロワイアル(3)ネクスト・バトルロワイアル(4)ネクスト・バトルロワイアル(5)ネクスト・バトルロワイアル(6)ネクスト・バトルロワイアル(7)ネクスト・バトルロワイアル(8)ネクスト・バトルロワイアル(9) カミーユアイビスロジャーアキト統夜ノイ・レジセイアAI1 サイバスターネリー・ブレン騎士凰牙アルトアイゼン・リーゼヴァイサーガペルゼイン・リヒカイトデュミナス ネビーイーム 三日目??? ◆XrXin1oFz6さん
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とある竜の恋の歌 ◆C0vluWr0so D-8市街地。二エリアに渡って広がるあまりにも巨大な街並みはひっそりと静まりかえっている。 そこに住人の影は無く、本来なら煌々と夜の街を照らすはずの街灯も暗黙を保ったまま。 閑散とした街の更に外れにある、自然の姿を人工的に残した野外公園に巨人の影が一つ。 巨人の足下には依頼主を亡くしたネゴシエイターが一人。 ネゴシエイターの足下には物言わぬ骸が一つ。 その側には、巨人――騎士鳳牙によって掘られた穴が一つ。 ネゴシエイター、ロジャー・スミスは今は亡き依頼主、リリーナ・ドーリアンの亡骸を前に立ちつくしていた。 彼女を埋葬すべく、自らの怪我の処置もほどほどに鳳牙を走らせたロジャー。 彼の胸中にあるものは悔い。自分の至らなさのせいで依頼主をむざむざと死なせてしまったことに対する後悔の念。 もしも自分が最初の接触の時点でテッカマンエビルを名乗る男を倒せていれば―― もしも自分が即座にテッカマンエビルとリリーナ嬢を発見し、少女を救出出来ていれば―― いくら悔やんでも悔やみきれない気持ちはいくらでも募ってきた。 しかし、それで歩みを止めるわけにはいかないということも重々承知している。 「リリーナ嬢。貴女の遺志はこのロジャー・スミスが引き継ごう」 一張羅が血で濡れることも気にせず、ロジャーは少女の骸を抱き上げる。 あれほどまでに凛々しい目を持ち、気高き矜持を最後まで貫いた女性をこのままの姿で晒すことはロジャーのプライドが許さなかった。 リリーナの遺体を抱き上げた瞬間、骨折の激痛がロジャーの脇腹に走る。 本来ならば即座に治療をし、安静を保たなければいけないような重傷の身。 それでもネゴシエイターは揺るがず、堂々と胸を張り少女を抱きかかえる。 「なに――気にすることはない。依頼主死すとも依頼は死なず。ネゴシエイター、ロジャー・スミスのささやかな矜持だ」 鳳牙によって穿たれた墓穴へとリリーナの骸を丁寧に下ろしたロジャーは、少女の首にはめられた首輪をそっと抜き取った。 今現在、ロジャー達反主催を掲げる者にとって一番のネックは各々の首に巻かれた首輪だ。 この首輪が殺傷能力を持ち、あの化け物の思い通りにその効果を発揮するというのは明らかだった。 ロジャーは思い出す。 胸糞が悪くなるほどに素敵なこのゲームの参加者、その全てが集められた最初の部屋の光景を。あそこで行われた凄惨な殺戮を。 自分たちがこのままあの化け物に挑もうとも、あの悪趣味なショーと同じ光景が主催者に歯向かう無謀な反逆者の首の数だけ行われるだけだろう。 だが、この首輪さえ外せば条件はイーブンだ。 たとえあの人外の化け物が如何に強力な力を備えていようとも、お互いが対等な立場にさえ立ってしまえばいくらでもやりようはある。 そのためのネゴシエイション、そのためのネゴシエイターだ。 この首輪が主催者打倒の切り札になる――そう確信し、懐に収める。 「リリーナ嬢……。私は、貴女のような気高く美しい女性に出会えたことをとても嬉しく思う」 少女の言葉はネゴシエイターとしての誇りを思い出させてくれた。 夢物語ではあったが、少女の語る理想は夢を信じるに値するものだった。 リリーナとの出会いは、交わした言葉の一つ一つはロジャーの心に深く刻まれている。 最後に死者への祈りを捧げ、ロジャーは墓から背を向ける。 そのまま鳳牙へと乗り込むと、今度は少女の亡骸を埋め始めた。 「だからこそ――この殺し合いに乗った者は許せない。貴女の信念に反することになろうとも、交渉に値しない輩はこの拳をお見舞いしてやるのが私の主義でね」 リリーナの身体が土中に埋もれていく。 埋葬される少女の表情は、自分が死んだということさえ理解していないかのように穏やかだった。 おそらく痛みも何も感じることなく逝ったのだろう。それだけがせめてもの救いだと言うのは、死者に対してあまりにも失礼だろうか。 少女の埋葬を終え、ロジャーは墓標代わりに白石を置く。 「私は死者に縛られるわけにはいかない。君の説いた理想を叶えるためにも、そしてなにより生き残るためにだ。 君とはここでお別れだ。ロジャー・スミスはリリーナ・ドーリアンの遺志を引き継ごう。 だが君との繋がりはここに置いていく」 止まるわけにはいかない――そう決めた。 少女の死を思い返し、感傷に浸る暇は無い。そんな時間が有るのなら、その分一人でも多くの命を救い、前へ進み続けよう。 この無意味な争いを止めることが、完全平和主義を説いた少女への何よりの弔いなのだから。 これからの方針を考えながら、ロジャーは鳳牙を走らせる。 この傷の処置をすませた後、一度ユリカ嬢のところへ戻ろう。 彼女の乗る巨大な機体ならば、もしかするとこの首輪を解析する機材が備えられているかもしれない。 主催者に生殺与奪の権利を握られている以上、このままでは表立っての反抗は出来ない。 あのテッカマンとか名乗った男も、手応えはあった。 おそらく相応の痛手は負わせられたはずだ。なにより生身のままではそう遠くまではいけないはず。 ひとまずは仲間を集め、それぞれの身の安全の確保、そしてあの怪物を打ち倒すだけの戦力の充実を図ることが先決だ。 6時間の間に出た死者――それを殺した殺戮者たちも、徒党を組み、十分な戦力を揃えた集団には手を出せないだろう。 ある程度の方針が見えてきたとき、薬局の看板が目に入ってきた。 これは幸運と機体から降り、ロジャーは店内へと入っていく。 様々な薬の並ぶ商品棚を一つ一つ物色し、鎮痛薬や包帯、ギプスなど目当ての物を手に取ると、早速手当てを始める。 「しかし、これはまた派手にやられたな」 骨折数カ所に全身打撲、この場にあの無愛想な少女がいれば、『ロジャー、あなたって本当に――』と小言の一つでも言うだろう、と想像しながら苦笑する。 そうだ、自分はあの世界へ再び帰らなければならない。 手早く怪我の処置を終えると、ネゴシエイターは立ち上がる。 目指すは巨竜、無敵戦艦ダイだ。 「さぁ行こうか騎士・鳳牙。この争い――終わらせるぞ!」 ◇ 一転、巨竜、無敵戦艦ダイの持ち主であるミスマル・ユリカは怯えていた。 ここに来てからの仲間の名は放送で呼ばれることはなく、密かに恐れていた想い人の名もまた、呼ばれることは無かった。 しかしそれでも――このバトルロワイアルという過酷な状況は、彼女の精神を磨り減らすのに十分だった。 死者が出ないと、そう思っていたわけではない。こんな状況で……誰も彼も仲良く手を取り合ってなどということは出来ない。有り得ない。 そう、頭の中では分かっていた。……頭の中では。 だが実際にこの場で様々な人間と出会い――そして戦い――そして死んでいくこの現状。 ただ、怖かった。 彼女に戦闘経験が無いわけでも、人が死ぬときに立ち会ったことがないわけでもない。 戦艦ナデシコの艦長として多くの戦闘をこなし、ときには苦渋の決断をしなければならないときもあった。 でもそれは、そばに『あの人』がいたから。 だから彼女はどんなときでも潰れずに立ち上がり、打ち勝ってきた。 それほどユリカにとって、『あの人』の存在は大きかった。 「アキト……」 思わず口に出てしまう想い人の名前。 「アキト……」 一度口にしてしまうと、それはいつまでも止まることなく出てくる。 「アキト……アキト……アキト……」 いつの間にか少女の瞳には大粒の涙が浮かんでいた。 もう一度、彼に……テンカワ・アキトに会いたい。 このまま死んでしまうなんて嫌だ。離ればなれのまま死んでしまうのなんて嫌だ。 二人でいつまでも暮らすって……その夢を叶えぬままに死んでしまうのなんて嫌だ。 だから……だから! その時少女はこちらに接近してくる機影に気づく。 敵襲かと身構えたが……違った。それは別れた仲間の機体だった。 既にその四肢は失く――しかしそれでもユリカを守った仲間。 ガイと名乗るあの人は、どことなく『あの人』に似ている。 『アキト』――なの? そう問いかけたかったが、ぐっと堪える。 なんとなくだが――それは、聞いてはいけないことのような気がした。 だからその代わりに、たった一言だけ告げる。 「お帰りなさい……ガイさん」 「……ああ、……ただいま、ユリカ」 四肢をもがれたバルキリーはダイの元へと帰還する。 過去を捨てた男は過去の少女と再会し、幸せな未来を夢見る少女は未来の想い人と出会う。 それは本来有り得ない邂逅。だからこれは――このバトルロワイアルの中で起きた、とても貴重な幸せの瞬間だった。 ◇ ユリカとアキトが再会してから遅れること数分。 ユリカを目指して北上していたネゴシエイター、ロジャー・スミスもまた、二人との合流を果たしていた。 三人は別れてからこれまでの経緯とこれからの方針について話し合う。 もちろん三人とも最終目標は主催者を倒し、生きてこの空間から脱出、元の世界に帰ること。 しかし、ロジャーがテッカマンエビルとの戦闘について話し始めたとき、ユリカが小さな悲鳴を上げた。 「そっ、そんな……! そしたらあたしは……! いやっ……いやああああ!」 「ユリカ嬢、どうした!? まず落ち着いて、それからゆっくり話してくれ」 「ユリカ、大丈夫だ。落ち着いてくれ。……俺たちがいない間に、何かあったのか?」 二人がなだめてる内に徐々に平静を取り戻したユリカは、自分の所業をぽつりぽつりと話し始めた。 その声は震えていて、その口調は怯えていて、その瞳は涙に濡れていた。 「……二人が行ってから……あたしは一人で待っていました」 「放送が始まって……リリーナさんが死んだって……!」 「そのほんの数時間前まで、あたしたちは話していて、会話をしていて……」 「それだけじゃない。他にもたくさんの人が死んでしまって」 「だからあたしは怖くて……」 ふとユリカの唇が動きを止める。一度の逡巡。それを……自らの行いを認め、吐き出すまでに少女はいくらの勇気を支払わなければいけないのか。 それでも逃げるわけにはいかない。 自分のしたことに対して責任を持てるのは自分だけだ。他の誰も肩代わりなんかしてはくれない。 そのことを分かっているからこそ、ユリカは自分の句の続きを紡ぐ。 「……人がいました。その人は何にも乗っていなくて……」 「でもあたしは怖かったんです。ロジャーさんの戦ったあの人……もしあの人なら自分は何も出来ないって。 何も出来ずにただ死んでしまうと、そう思ったんです。でも……それは違った」 実際――ユリカが攻撃を行った相手はただの少女だった。 戦闘により使い物にならなくなった乗機から降り、助けを求めていたソシエ・ハイム。 もちろん生身で巨大ロボットと戦うことなど出来はしない。 それでもユリカが感じる恐怖は凶悪な殺戮者、テッカマンエビルから受けるものとなんら変わりないものだ。 だから―― 「……あたしは、相手を殺す気で撃ち続けました。ここの上で、無尽蔵に補給されるミサイルを撃ち続けたんです!」 ロジャーとアキトは絶句するしかなかった。 そう言われれば周りの建築物は自分たちがここを離れたときより徹底的に破壊されている。 高くそびえ立っていたはずのビルは影もなく、一面が瓦礫の焼け野原となっていた。 相手が生身の人間ならば――生きてはいまい。 そして、人を殺したという事実はユリカに重くのしかかる。 「あたしは……無関係の人間を……無抵抗の人間を殺してしまったんです……!」 気づけばユリカは泣きじゃくっていた。 誰がこの少女を責めることが出来るだろうか。 少女はただ脅え、恐がり、その力を向けてしまっただけなのだから。 だが、だからこそユリカは自分の行いを許せなかった。 ユリカの目的はここからの脱出。それは一人でも多くの人間と共に行われなければならない。 それなのに、自分は人を殺してしまった。命を……散らしてしまったのだ。 本当に自分はその目的を叶えることが出来るのか? 人を救うどころか殺してしまった自分が……。 「ユリカ。確かに君のしてしまったことは決して良いことではなかったかもしれない」 そんなユリカの耳に入ってきたのはアキトの声だった。 「だが……君はそれを受け入れ、乗り越えなければならない」 「でも……あたしは……!」 「しっかりしろ! 君はそんなに弱気だったか? 臆病だったか?」 「ガイ……さん……?」 「君は強い人間だ。どんなに辛いことがあっても……それを乗り越え、更なる強さを手に入れることが出来る人間だ」 「……あたしが……強い人間?」 「そうだ。少なくとも……俺が見たミスマル・ユリカはそうだった」 「……ガイさんに何が分かるんですかっ! ほんの数時間一緒にいただけのあなたにっ!」 「確かに会ったばかりの俺が言うことじゃない。だが、少なくとも俺と出会ったときの君はそうじゃなかった。 明るくて……こちらが眩しささえ感じるほどだった。それが本来の君なんだろう?」 「……。でも」 「まぁまぁ、二人とも落ち着いてくれ。ユリカ君の言う人間だって、まだ死んだと決まったわけじゃない。 一度、探索してみることを提案しよう。もしかするとまだ生きているかもしれない」 ユリカとアキト、二人の会話に割って入ってきたのはロジャーの提案だった。 まだその人間が死んだと決まったわけではない。生きている可能性があるのならそれに賭けるべきだ――とネゴシエイターは主張。 確かにそれも一理あると、ユリカとアキトも賛同する。 「それでは私とガイ君の二人で探索を開始しよう。と、その前にユリカ君に一つ頼み事がある」 「え……。はい、なんでしょう?」 「ここに首輪が一つある。……リリーナ嬢の首に巻かれていた物だ。これを君に託そう。 見たところ、ダイは戦艦というよりもむしろ移動基地としての側面の方が強いようだ。 ならば機体の整備、ひいては開発のための設備を内蔵している可能性が高い。 後は――分かるね?」 「……はい。私にどこまで出来るかは分かりませんが……やれるだけのことはやってみます」 ロジャーはユリカへと首輪を渡す。その後、早速ロジャーとアキトが市街の探索を始めたのだが―― 「どうだガイ君? その脚部はまだ使用可能かね?」 「いや……どうやら爆撃の直撃を受けたようだ。修理するより新しく造り直したほうが早い、といった状態だな」 「そうか……こちらにあった機体も使えそうにない。どうやら収穫は殆ど無いとみてよさそうだ」 ダイの爆撃を受けた市街地のダメージは予想以上のものであり、YF-21の脚部やドスハード(これは元々運用不可だったが)など、戦力面の補充は期待出来そうになかった。 生存者の発見も絶望的かと思われたその時、ロジャーが地中へと繋がる穴を発見。 どうやら地下通路の類らしい。もしもこの穴ぐらの中へ入り込み、爆撃を避けることが出来たならば。 「たとえ生身でも生きている可能性はある――ということか」 「そういうことになるね。しかも――この通路、機動兵器が通った後がある。もしかするとその機体の持ち主に保護されたのかもしれない」 「その可能性もあるな。それで、どうするつもりだ? この奥へと探索範囲を広げるのか?」 「そうしたいところだが、この通路は少々狭すぎる。 私の鳳牙ではどう見ても通れそうにないし、ガイ君の機体でも難しいだろうな。せめて脚部が無事ならまだやりようもあったろうが、この狭い穴ぐらの中を戦闘機が飛ぶというのもナンセンスな話だろう」 「するとこの通路の探索は諦めると?」 「おっと、そうは言っていないよ。確かに機体のままならば通れない――だが、この身一つで飛び込むには十分な広さだ。機体から降り、私が調べてこよう。 なに、心配することは無い。この周辺と機動兵器の痕跡を確認する程度に留めるつもりだ。 それと……彼女を一人には出来ない。君はここへ残って周辺の警戒を頼む」 「……了解した。ユリカ聞こえたか? 今から俺がそちらへ戻る。ロジャーはこのまま地下通路の探索を続行だ」 ユリカから了解の返事が届くと、ロジャーはアキトへのプライベート回線に切り替えた。 「……ガイ君。私が言うのもなんだが、君がユリカ嬢に会ったのはここに来てからではないな? 君はユリカ嬢とは同じ世界の人間で……しかもかなり親しい間柄と見た。彼女は君の素性を知らないのかい?」 「……俺はユリカとはここで初めて出会った」 「いーや、嘘だね。これでも私はネゴシエイターだ。下手な嘘で騙そうとしても無駄だよ」 「……貴様には関係ない。これは……俺だけの問題だ」 「……そうか。なに、そう言うのなら無理に聞く気はない。少なくとも私よりは君のほうが彼女のなだめ役に向いていると分かっただけでも十分だよ……っと」 やれやれ、一方的に切られてしまったか……と、ロジャーは無愛想な仲間の行いに苦笑した。 (確かに彼ら――というより彼個人か? 深い問題があるようだ。それがこれから先、悪い方向に転がらなければ良いが……) 「しかしこのような問題は他人が立ち入ったところで良くなるようなものでもない――先ほどは少しばかり余計な口出しだったかな?」 と、ネゴシエイターは自分の言動を省みる。 一呼吸置いた後、ロジャーは鳳牙から降り、地下通路の探索を開始した。 ◇ 首輪を託されたはいいが、機器の扱いに関しては素人であるユリカがどうこう出来る物ではなく。 ラボに置かれていた研究器具も、彼女の世界とは違う科学体系に因るものだったこともあり、下手に触れば爆発する可能性を秘めている首輪の解析は、挑戦さえも出来なかった。 ダイの操艦部へと戻り、首輪の表面をなでる。あまり心地よい感触では無い。 半分機械、半分生き物、とでも言えばいいのかは分からないが、とにかく冷たい無機質な感触も、温かみのある生き物のそれとも違う不思議な感触は、ユリカが初めて見る物質によるものだった。 紅い宝石のようなものが埋め込まれ、一見装飾品のように見えないこともない。 だが、ぴったりと首に吸い付くように巻かれている首輪には、それをつけるとき必ず必要なはずの繋ぎ目が見あたらない。 「不思議だなぁ……。どうやってつけたんだろ? やっぱりこのナマモノっぽいところが伸縮したりしちゃうのかな?」 ユリカの疑問も募るばかり。 と、それまで聞き流していた通信から自分の名前が聞こえてきた。 「……ユリカ聞こえたか? 今から俺がそちらへ戻る。ロジャーはこのまま地下通路の探索を続行だ」 「えっ、あっ、はい。ロジャーさんは地下通路、ガイさんがこちらに戻るですね。了解しました」 地下通路についてなど把握出来てないこともあったがとりあえずは了解の返事を送る。 モニターにはこちらへと飛んでくるガイ機の姿が映っていた。 ◆ 「えっと……ガイさん、その……先ほどはあたしも少し取り乱していたというか……」 探索から戻ってきたアキトとの沈黙の時間……それに耐えられなくなったユリカの口から出たのは、先ほどの無礼に対する謝罪の言葉だった。 「……いや、気にすることはない。さっきは俺も少々感情的になりすぎた」 それに対するアキトの返答も、思いはユリカのそれと同じ。 「……はい! でも、やっぱりこういうのは言っておかなきゃいけませんよね。 改めて……すいませんでした、ガイさん。あたしも……二人がいない間に、考えたんです。 ああ、ガイさんの言う通りかもしれない……って。普段のあたしはどんなんだったかなーとか。 こんなとき……どうしてたかなー、とか」 だいぶ普段の調子を取り戻しつつあるユリカに安心し、アキトも会話を続ける。 「いつもの調子に戻ってきてるみたいだな。安心したよ」 「あ……」 「どうしたんだ?」 「いえ、その……ガイさんって、あたしの大切な人に……似てるんです。 なんでかなー? 口調や雰囲気なんかは全然違うんですけど……。時折見せてくれる優しさ? みたいなのが」 「それは光栄だな。その彼について……少し話してくれないか?」 「えっ、いいんですか? えっとぉ……、彼、アキトっていうんです。 小さいときからの運命の恋人っていうか……。アキトはかっこよくて優しくて…… たまーに優柔不断なところもあるんですけど、それも彼の優しさだろうし…… 何より、あたしのこと……大切にしてくれるんです。それが……一番好きなとこかな?」 アキトはフ、と微笑むとユリカに対して問いかける。 「一つだけ聞こう。君は今……幸せかい?」 その問いに込められた思いに気づくことなくユリカは即答する。 「はい! あたしは……とっても幸せです!」 その返事を聞いてアキトはどこか悲しげに、しかしユリカの幸せを祝福し、軽く頷いた。 「そうか……きっと、そのアキトって奴も……幸せだと思うよ」 「はい、アキトもあたしも幸せです! だって二人は愛し合ってるんだから! ……って、なんだかあたしのおのろけ話になっちゃってるような……」 「フフ……確かにそうだな」 忘れていた幸せの瞬間――アキトは今まで失ってしまっていた感情と、それにすぐに順応してしまった自分に驚いていた。 あの頃の自分はこうして笑っていたなと、もう思い出の中にしか存在しない自分の姿を思い出す。 このままユリカとずっと二人で……ふとそんな考えが頭に浮かんだとき。 それは叶わない夢だということをアキトは知る。 「ガイさんにはいないんですか? 大切な……人」 たとえ今会話をしている相手があの頃のユリカだったとしても。 変わらぬ笑顔がこちらに向けられていたとしても。 自分は変わってしまった。 今の自分はユリカの愛したテンカワ・アキトではない。 過去を捨てた……復讐鬼なのだ。 「ああ、……いたよ」 「あっ、やっぱり! ガイさんって一見無愛想だけど実は優しいですもんね。女の子なら放っておきませんよぉ!」 「いた。だが……もういない」 「……! す、すいません……あたし……」 「君が謝ることはない。……少し周辺を見てこよう。ロジャーの話ではまだ近くにテッカマンと名乗る好戦的人物が潜伏しているらしい。 君はその間に休んでおくといい。何かあったらすぐ連絡するように……分かったね?」 「……はい、分かりました。……ガイさん、最後に一つだけ……聞いてもいいですか?」 「……なんだ?」 「あなたは……」 あなたは……。そこから先の言葉が続かない。聞きたいことは、言いたいことは頭の中ではしっかりと文章を作っている。 『あなたは……アキトなの?』 たったそれだけの言葉が言えない。 たった五文字。でもそれを言うことは他の言葉を百述べることよりも、千紡ぐことよりも難しかった。 言葉が続かない。 ユリカの口唇は半端に開かれたまま何の音も発することは出来なかった。 「……いえ、何でもありません。気をつけて行って来てください」 「……ああ」 バルキリーは夜空を切り裂き羽ばたいていった。 ユリカは思う。 自分が聞けないのは……もしかしたら心の奥底でそれを認めているからではないかと。 今までアキトのことを誰よりも見てきた自分だからこそ分かる。 やっぱりガイさんは……アキトだ。 何であんな格好をしているのか分からない。ユリカの知るアキトとは雰囲気だって全く違う。 それでも自分の全感覚は彼がアキトなんだと言っていた。 「今度ガイさんが帰ってきたら……その時こそ絶対聞こう」 少女はそう決心するとずっと張りつめていた緊張の糸をほぐす。 思えば夕方戦闘になってからずっと緊張しっ放しだ。 んー、と背伸びをしてから、どっかりと椅子に座り込む。 深く椅子にもたれながらユリカはじわじわと迫ってくる睡魔の存在に気がついた。 あっ、ダメ……今寝ちゃったら……でも……ちょっとくらいなら……。 気づけば少女はすうすうと寝息をたてはじめていた。 「……ユリカ君? 聞こえているか?」 探索を終えたロジャーからの通信も、眠れる少女の耳には届かない。 ロジャーが行った探索の結果は、決して芳しいものではなかった。 生身での移動ということもあり、探索範囲が酷く狭かったことも原因の一つ。 例の機動兵器の移動跡についても、地下通路を通れるサイズの機体であることくらいしか分からなかった。 ……いや、もう一つある。 地下通路の中には、人為的に押し広げられちょうど人が通れるようなサイズの亀裂があり、そこには金色の装甲片が付着していた。 おそらくはその機動兵器が亀裂を広げた時に剥がれた物だろうが……金色をパーソナルカラーとするパイロットなど存在するのだろうか? その機体の持ち主はよっぽど派手好きだったのだろう。 「よほどのセンスの持ち主と見える。一度お会いしてみたいものだ」 と、黒で全身を覆うネゴシエイターは肩をすくめる。もしこの場にあの少女がいたならば、『ロジャー、貴方のセンスもよっぽどだわ』などと言ってくれたろうに。 「しかしガイ君といいユリカ君といい、どうしてこう協調性に欠ける人間ばかり揃っているのか……まさかそれがこの場に呼ばれた理由ではあるまいが」 と、いまいち歩調の合わない仲間に対してロジャーは苦笑する。 思えばこの馬鹿げた殺し合いが始まってから既に半日が過ぎようとしている。 その間出会った者たちはどれもこれも一筋縄ではいかないくせ者ぞろい。 しかし不思議なのはその殆どが戦闘技術に長けた者であるということ。 (これはなぜだ? あの怪物はなぜ私たちを選んだ?) 相手の目的を知り、それに見合った行動をとることがネゴシエイトの鉄則である。 この首輪を解除し対等な立場に立ったとき、肝心のネゴシエイトに失敗しては元も子もない。 怪物の情報――それもまた必要だった。 「為すべきことは多い。まったく先が思いやられるね」 まぁ今は――何処かへ行った王子の代わりに眠り姫のお供というのも悪くはないな、と鳳牙はダイに寄り添うようにその身を座らせた。 ◇ 夜闇に紛れ、ダイの動向を見張る機体が一つ。黒と赤のカラーリングが施されたそれは、獲物を見つけ、喜びに奮えていた。 「そうか……。アレがお前を堕落させているモノかい?」 ククク、とガウルンは嗤う。その目は燦々と輝き、唇は醜く歪んでいる。 まるで子供が念願のおもちゃを買ってもらったかのような喜びの顔を見せ舌なめずりをする格好は、彼の愛する軍曹に言わせれば三流の為すこと。 確かにガウルンは兵士としては三流と評されるかもしれない。だが、それはあくまで"兵士"としてだ。 こと戦闘だけに限定して言えばガウルンは超がつくほどの一流なのは間違いない。 そして超一流の戦闘狂が駆るのは、超一流の武闘家、東方不敗マスターアジアの愛機であるマスターガンダム。 俊敏なその動きなら、鈍重なトカゲの一匹、即座に喰うことが出来るだろう。 「フフフ……さぁて、楽しいパーティの始まりはもうすぐだ。楽しみだねぇ……実に楽しみだ」 まだダイに手は出さない。アレを壊すのは――アイツが帰ってきてからだ。 自分と同類のあの男は、目の前でアレを壊された時どんな顔をするだろう? 決まっている。 この上なく上等な憎しみの目をこちらに向け、火がつくような憎悪を滾らせ――アイツはきっと、自分を殺しに来るだろう。 「焦るなよ、ガウルン。お楽しみはこれからだ。あの男を徹底的に壊すチャンス――それを待て。 何、それはそう遠くない。腹を空かせてメシを待てば、いつもより美味しく頂ける理屈だぜ。 ……まぁ、あれだけ旨そうな獲物だ。すぐに頂くのも悪くはねぇなぁ」 ククク……、と狂人は再度嗤う。 【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童) パイロット状態:体力消耗、肋骨数か所骨折、全身に打撲多数 機体状態:左腕喪失、右の角喪失、右足にダメージ(タービン回転不可能) 側面モニターにヒビ、EN90% 現在位置:D-7補給ポイント 第一行動方針:アキトの帰還を待つ 第二行動方針:ゲームに乗っていない参加者を集める 第三行動方針:首輪解除に対して動き始める 第四行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める 最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉) 備考1:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能 備考2:念のためハイパーデンドー電池二本(補給一回分)携帯 備考3:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機を所持】 【ミスマル・ユリカ 搭乗機体:無敵戦艦ダイ(ゲッターロボ!) パイロット状態:浅い眠り、精神的にはやや不安定なまま 機体状態:大砲一門破損、左前足損傷、腹部装甲損壊 現在位置:D-7補給施設 第一行動方針:眠……あふ…… 第二行動方針:ガイに自分の疑問をぶつける 第三行動方針:ガイの顔を見たい 第四行動方針:首輪解除が出来る人間を探す 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考1:YF-21のパイロットがアキトだと知りませんが、ある程度確信を持っています アキトの名前はガイだと思っていますが若干の疑問もあります 備考2:ハイパーデンドー電池8本(補給4回分)回収 備考3:首輪(リリーナ)を所持】 【テンカワ・アキト 登場機体:YF-21(マクロスプラス) パイロット状態:やや衰弱 機体状態:両手両足喪失、全身に損傷 現在位置:D-7西部 第一行動方針:市街地周辺の探索 第二行動方針:ユリカを護る(そのためには自分が犠牲になってもかまわない) 最終行動方針:ユリカを元の世界に帰す(そのためには手段は問わない)】 【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状況:疲労小、DG細胞感染、気力120 機体状況:全身に弾痕多数、胸部装甲破損、マント消失、ダメージ蓄積 DG細胞感染、損傷自動修復中、ビームナイフとヒートアックスを装備 現在位置:D-7 第一行動方針:アキトの目の前でダイを壊す 第二行動方針:近くにいる参加者を殺す 第三行動方針:アキトを殺す 第四行動方針:皆殺し 第五行動方針:できればクルツの首を取りたい 最終行動方針:元の世界に戻って腑抜けたカシムを元に戻す 備考:九龍の頭に埋め込まれたチタン板、右足義足、癌細胞はDG細胞に同化されました 】 【初日 22 00】 本編111話 とある竜の恋の歌
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仮面の舞踏会 ◆caxMcNfNrg 立ち並ぶ廃墟の間に、赤い巨人の姿があった。 大地に膝をつき、頭部の角を前方に向けた鋼鉄の巨人。 その隣で一人、仮面をつけた男が思案に耽っている。 白を基調にした厚い布地の衣服に、頭部全面を覆う仮面。 明らかに場違いな格好をした彼の名は、ユーゼス=ゴッツォ。 バルマー帝国第七艦隊の副司令官……いや、実質上の支配者である男である。 ……もっとも、リュウセイ・ダテを始めとするSRXチームや、 優秀なサイコ・ドライバーである彼等を中核としたαナンバーズ、 そして己が分身である、イングラム・プリスケンの手によって、 彼の野望は、その身と共に潰えたはずであった…… (そうだ、確かにあの時、我が身は因果地平の彼方へと消え去ったはずだ……) だが、こうして五体満足で存在している。 ……殺し合いという、腹立たしいゲームの盤上ではあるが。 (主催者……レジセイアといったか……の見せた力…… そして、勝者に与えられるという、自らの望む世界…… もしや、あれはアカシック・レコードの……ならば、あの怨念も……) 「……どちらにしろ、ここで滅するわけにもいくまい」 ユーゼスの小さな声が、仮面に遮られ虚空に消える。 「そうだ、この身が現世にあるのだ……私は滅びぬ! イングラムよ、三度目の邂逅は近いぞ……!」 その言葉と共にユーゼスは、自らの隣にある赤色の巨人を見上げる。 PTX-003C――『古い鉄』という、不名誉な名を与えられた機体を…… 「ふむ……射程距離に不安が残るが……まあよいだろう」 アルトアイゼンに近づきながら、ユーゼスは仮面の下で笑みを浮かべる。 「私の念動力で補えば、充分に生き残れ……」 不意に……上空からの日差しが途絶え、ユーゼスの言葉は途切れた。 仮面の下の笑みを凍りつかせ、ゆっくりと振り返る。 そこには自らの機体の、ゆうに二倍以上はあろうかという巨人が佇んでいた。 「……答えてください、貴方はこのゲームに乗っているんですか?」 目の前の機体から響く女性の声に、ユーゼスは即答した。 「このゲームを壊そうとしているのも私だ」 【ユーゼス=ゴッツォ 搭乗機体:アルトアイゼン(スーパーロボット大戦IMPACT) パイロット状況:良好(ちょっと驚いたのも私だ) 機体状況:良好 現在位置:D-4 第一行動方針:目の前の女性(ベガ)と会話 最終行動方針:生き残る】 【ベガ 搭乗機体:月のローズセラヴィー(冥王計画ゼオライマー) パイロット状況:良好 機体状況:良好(ビットも健在) 現在位置:D-4 第一行動方針:目の前の人物(ユーゼス)と会話 最終行動方針:仲間を集めて、ゲームから脱出】 【初日 12 30】 BACK NEXT 悪の美学 投下順 悩める少年 天駆ける少女 時系列順 護るために BACK 登場キャラ NEXT Opening ユーゼス 仮面の作戦会議 ベガ 仮面の作戦会議
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巨虫、岩を打ち抜いて ◆vBGK6VSBWM 第一回放送が始まる時間まであと五分といった時間まで差し迫る。 その時、孫光龍は未だ平穏の中に身を置いていた。 本日二杯目のコーヒーを用意する。ペースが多少早いかもしれないがそれも仕方がない。 自分で決めたこととはいえ、娯楽のない休憩という物は退屈なのだ。 それゆえ、嗜好品に手を伸ばす。 「しかし、エスプレッソばかりというのもねえ。 ミルクぐらい用意したら良い物を。気が利かないなぁ。」 どうせ主催者にはこちらの声は筒抜けなのだろう。 そんなことを思いつつ愚痴りながら、カップを口元に寄せる。 『アー、アー、ただいまマイクのテスト中ですの。…こほん…最初の定時連絡の時間となったので放送を 始めますの。まずは死んでしまった人たちの報告からですの…』 「放送が始まった・・・か。それにしても無粋な主催者だ。」 いざ、飲もうという時に流れ出した放送に少し不機嫌な素振りを見せながらカップを手元に置く。 『以上、10名ですの。…なかなか順調ですの。でも、乗らない方もいますのでやる気を出してもらうために ご褒美のことを説明いたしますの。ご褒美は、死んでしまった方を生き返らすことから世界の改変まで 望むがままですの。なので、みなさんちゃきちゃき頑張って欲しいですの』 「ギム・ギンガナム。僕をコケにしてくれただけはある。簡単には落ちないな そういえばあのミサイルに乗った男、シャアと呼ばれてたかな・・・ あいつも生き残っているのか。フフッ、逃げ足だけは早いようだったからね。」 光龍には序盤で死んだ小者達に対する哀悼などなかった。 そして優勝のご褒美にも。それに釣られて、功に焦り戦闘で死んでしまっては元も子も無い。 あくまで保守的に、最終的に生き延びられればそれでいいのだ。 彼にとって、今興味があるのは自分をコケにしたギンガナムという男と生き延びる事、その二つだった。 ―それにしても禁止エリアは何処になるかな。まさか、ここになるなんて事は・・・ ハハッ、そうなったら流石に出来すぎている。嫌がらせかなにかだ。 コーヒーを飲みそんなことを思っているうちにも、放送はなお続く。 『………………今から二時間後にA-8と D-4は進入禁止となりますの。 進入すると首輪が起動するので注意することですの』 「ブッ!ゲッ、ゲホゲホッ!」 こう予想通りの展開では咳き込み、コーヒーを噴出すのも仕方が無い。 盛大に光龍の口から吹き出たコーヒーは霧状で、幸い彼の白いスーツを殆ど汚す事は無かった。 ああ、それにしてもここに陽光が射していさえすれば見事な虹が観賞できただろう。 「のうのうと傍観しながら優勝させてくれるとは思っては居なかったけれど、まさか本当にここを指定するなんて。」 事態は一転して、早急を有することとなった。 数分間か、ハイパー化以外の脱出方法を考えてみたがやはり良い案は思いつかない。 「コーヒーをインスピレーションの源なんて言ったのは誰だったかな。全く役に立たないじゃないか。」 かくして、光龍はハイパー化による脱出を余儀なくされることとなった。 だが不安は残る。光龍もこのハイパー化というのが完全無欠ではないことを重々承知しているからだ。 「ギンガナムとの戦闘でオーラバリアが展開できなかったのも、 制御できなかったからじゃなくて単に機体に負担を強いるからかもしれないな。」 光龍は少し勘違いをしていた。 ハイパー化は実際にはAB自体が巨大化するのではなく オーラバリアが実体化して膨れ上がり、ABが巨大化したかのように見える現象である。 厳密にいえば、あの戦闘でオーラバリアが展開できなかったのではなく、最初から実体化した形で展開はされていたのだ。 「どちらにしても外に出たら、まずはG-6でレプラカーンを点検しなくちゃ。それもハイパー化が無事に済んだらだけどね。」 光龍は一時間の間に回復した念を注ぎ込むイメージでハイパー化を試みる。 ―うまくいけば、制御できる程度に巨大化出来るはず・・・ レプラカーンは光龍からゆっくりと注がれる念を纏い、徐々に巨大化を始める。 AB一体が丁度収まる程度だった穴も次第に窮屈になる。 「そろそろ、頃合だね。」 レプラカーンの腕が穴を覆っていた大岩を砕く。 大きな音をたてて崩れるが幸いにも周囲には誰も居なかった。 「僕は運が良い。周りに誰も居ないじゃないか。それに暴走もしなかったしね。」 光龍は余裕の表情を見せるが、実際は回復した分以上の念を消費している為かなり疲労している。 自滅こそしなかったものの、やはりハイパー化という特殊な状態を制御するには至らなかった。 「でも、休んでいる暇は無いか・・・」 一匹の赤い昆虫はふらふらと頼りないながらも飛んでいった。 【孫光龍 搭乗機体:レプラカーン(聖戦士ダンバイン) パイロット状態:念の使い過ぎで疲労。ギンガナム恐怖症。 機体状態:オーラキャノン一発消費、グレネード二発消費、ハイパー化の兆し在り、顔の牙消滅、左脚部切断 現在位置:A-8 第一行動方針:G-6にてレプラカーンの点検。出来ればENの補給も。 第二行動方針:ギンガナムに打ち勝つ 第三行動方針:己の力を上回る主を見つける 最終行動方針:生き残る】 【初日 18 20】 BACK NEXT キラ 投下順 類(仮面)は友(仮面)を呼ぶ 殺し合い 時系列順 騎士の美学 BACK NEXT コーヒーブレイク 孫光龍 ゲスト集いて宴は始まる
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艦隊これくしょん スパロボ風 tag スパロボ風艦これリンク nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 link[[ mylist[[ community[[ dic[[ pic[[ channel[[ back